これから書くのは私の実体験です。
始めに言っておきますと、競馬はサラ金からお金を借りてまでやるものではありません。目を覚ましてください。
自分の給料から、生活費など必要な分を先に確保しておいて、消耗品などもすべて買える分をとっておいて、最後に残ったお金の範囲内で楽しむものです。
これは一人の競馬バカが生まれ、そしてサラ金からお金を借りた話です。
- 氏名:北村豊さん(仮名)
- 性別:男性
- 年齢:28歳
- 職業:会社員(SE)
- 利用したサラ金:アコム、プロミス、レイク
- 最高借入額:150万円
目次
競馬を始めたのは2014年の天皇賞秋
私が競馬場に初めて行ったのは、2014年の天皇賞秋でした。
きっかけは、もともと麻雀で知り合った友人が「麻雀は4人中1人か2人しか勝てないけど、競馬はみんなで勝てるし面白いよ」と誘われたのが始まりです。
当時は競馬のことなんてディープインパクト以外何も知らず、「大きなレースがあるからこのときに来れば?」と暇つぶしついでに行ったのを覚えています。
また、馬券は100円からでも買えると知って「思ったよりも健全なギャンブルなんだな」と感じたのも覚えています。
メインレース以外は見ていただけで、メインレースだけ新聞を見せてもらって好きな馬の単勝を100円だけ買おうと決めました。
偶然にも私が買ったのは父ディープインパクトの中で名前が気にいったスピルバーグでした。まぐれで当たってしまったのです。
今になって見直してみれば、牡馬は超良血のエピファネイアやフェノーメノ、イスラボニータ、名牝ジェンティルドンナ、デニムアンドルビーと好面子のレースでした。
最初に買ったレースで100円が1,100円になりました。思えばこの時に、「競馬って簡単にお金が増えるんだな」と考えてしまったのかもしれません。
2014年のジャパンカップで競馬にハマる
それまで友人と麻雀ばかりして飽きていたので、それからは毎週みんなで府中競馬場に集まっていました。
天皇賞秋からエリ女とマイルCSを挟んで、ジャパンカップとGⅠ連続開催で、競馬のことをどんどん覚えていきました。新しいおもちゃを見つけた子供のようにはしゃいでいました。
待ちに待ったジャパンカップ。全GⅠの中で一番獲得賞金が高く、海外からも競走馬が参戦すると聞いていたので、前日からワクワクしていました。
この頃には買い方も少し覚えていて、私はスピルバーグを軸にエピファネイア、ジャスタウェイ、ジェンティルドンナへ馬連各300円程度流していたと思います。
結果としては惜しくも負けてしまいましたね。しかし、レースそのものは今でも忘れられません。名手スミヨンとエピファネイアの最後の400mの走りを、私は応援も忘れ、見惚れていました。
競馬歴が浅いのもありますが、今でもあのレースより記憶に残るレースはありません。
最後方から猛然と追い上げてくるスピルバーグも途中までは応援していたのですが、ジェンティルドンナをぐんぐんと突き放し4馬身つけてゴールしたエピファネイア。ゴール後にガッツポーズをするスミヨンは本当にかっこよかった。
このレースで私は完全に競馬にハマることになりました。
負けを取り返そうと躍起になってサラ金でお金を借りてしまう
それからも毎週競馬を続けていましたが、ジャパンカップから有馬記念までの間はなんと回収ゼロ。
負けが込むと躍起になる性格が元からあったのか、馬券の金額は300円、500円、1,000円、5,000円と次第に増えていってしまっていました。
これまでの負けをたった1回の馬券で取り戻そうとすれば当然です。当時の私は競馬バカというよりもただのバカそのものでした。
掛け金が大きくなっても回収ができなくなると、どうにかして取り戻そうとオッズの高い馬券を選び、当然のように外れるという日々を送っていました。こんなことをしていたせいで感覚がおかしくなっていました。
そして2014年で初めて参戦する有馬記念のために軍資金を作ろうと、前週の朝日FSにも臨みましたが大敗。ここで月に使えるお金を使い切ってしまいます。
「有馬記念はゴールドシップから買えば負けることはない!」そう思い込んでしまっていた私は、前の日の土曜日に初めてサラ金の自動契約機へ立ち寄ります。
初めての借金、そして惨敗
初めての借入先に選んだのは、大手消費者金融のアコムでした。
詳しい場所は伏せますが、新宿のむじんくんへ必要な書類をもって向かいました。そもそも審査に通るのか疑心暗鬼な気持ちで申し込んだのですが、40分くらいで審査はあっさりと終わったのを覚えています。
この時の借入額は20万円。ちょうど1か月分くらいの給料でしたが、これくらいならすぐに完済できると高を括って申し込みました。
そして臨んだ有馬記念。ゴールドシップ、あの感動をくれたエピファネイア、世界ランク1位のジャスタウェイ、他にもジェンティルドンナ、フェノーメノ、ワンアンドオンリーなど2014年もすごく好きな馬ばかりでした。
私はゴールドシップの単勝に10万円。馬連でエピファネイア、ジェンティルドンナ、フェノーメノ、ワンアンドオンリーへ各25,000円流しました。
始めに買ったスピルバーグの100円は、気が付いたら20万円に膨れ上がっていたのです。
結果は惨敗。ゴールドシップがハナ差でトゥザワールドに追いつかなかったのは、本当につらいものがありました。
こうして私のサラ金借金生活が始まるのです。
金銭感覚が狂ったまま2015年へ
2015年も私は相変わらず給料のほとんどを競馬へつぎ込んでしまっていました。
給料日がきて口座にお金が増えたと思ったら、週末を1,2回挟むとお金がなくなっている。その度にローンカードを持ち出してお金を借りる。こんな生活ばかり繰り返していました。
ただ競馬自体はこの年も素晴らしいものでした。日本ダービーでは怪物ドゥラメンテとデムーロ騎手の格好良さに感動しました。
菊花賞では、ブラックタイド×サクラバクシンオーのキタサンブラックでは厳しいと言われていた中、淀の第4コーナーで最内を突いて差し切ったあのレースは、ジャパンカップのエピファネイアに次ぐ素晴らしいレースでした。
ただ、私の借金は膨らむばかりでした。いつしか借入先はアコムだけでなくプロミスからも借りて、2社からの借入額は100万円を超えていました。
総量規制で消費者金融からは借りられなくなりレイクへ
天皇賞秋のラブリーデイ、ジャパンカップのショウナンパンドラ、どちらも買ってはいたものの相手が買えなかったために、借りた100万円も底をついてしまいました。
もうここまでくると人に相談することも出来ず、「競馬につぎ込み過ぎて借金をしてしまったからお金を貸してほしい」なんて両親には話すことができませんでした。
そして迎えた2015年の有馬記念、ゴールドシップの引退レース。
去年負けたのを忘れ根拠もなく、「2,500m以上ならゴールドシップが勝つに違いない」と思い込んでいました。しかしアコムとプロミスからは総量規制でこれ以上借りられない。
何とかしてゴールドシップの馬券で取り戻そうと、気が付けばレイクの自動契約機へ足を運んでいました。
ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、昔サラ金だったレイクは、今は銀行カードローンになっていて総量規制の対象外なんです。そこで私はさらに30万円を借りてしまいます。
そして迎えたレース当日。ゴールドシップの単勝に10万円、複勝に20万円という頭のおかしい馬券を気が付けば買ってしまっていました。もはやゴールドシップと内田騎手を全力で応援するしかありません。
しかしゴールドシップは発馬機内で立ち上がってしまい、そのタイミングでレースがスタート。彼は10馬身以上のハンデをラストランで背負ってしまいます。
一時は絶望しかけましたが、彼の追い上げには感動のあまり涙ぐんでしまいました。4コーナーを過ぎるまでは「本当に勝つのではないか」と思ったくらいでした。
しかし前半のロスと追込みもあって直線では失速。結果は8着となり、30万円の馬券は2分30秒程度で価値のない紙くずになってしまいました。
3社から借りていた借金は、利息も含め150万円になっていました。人はたった1年でここまでおかしくなるのかと頭を抱えました。
そして年末年始に両親へ借金を告白しました。あまり記憶はありませんが、150万円すべてを両親に返済してもらい、借用書を書いて今は親に返済を続けています。
結論:負けを取り戻そうとしてはいけない
2014年の有馬記念の前、友人繋がりで知り合った馬主の方と競馬場でお話する機会がありました。その時、彼はこう仰っていました「人は負けて借金をするわけじゃなく、負けを取り戻そうと大金を入れた時に借金をするんだ」
その時はまだ借金をする前だった私は、自分のことを言われているんだと気付くことができませんでした。
ですから、今これを見てサラ金からお金を借りようとしている方がいれば伝えたいのです。「ギャンブルはサラ金からお金を借りてまでするものではない」と。
今私は、自宅でグリーンチャンネルを契約して競馬を予想するだけにし、競馬場にもウインズにもいかないようにしています。競馬場に行っていた頃と比べると味気ないものですが、マカヒキやサトノダイヤモンド、ディーマジェスティ、エアスピネルなど次世代の馬たちの活躍を楽しんでいます。
あくまで余ったお金の範囲で、負けてしまった分は取り戻そうと考えすぎないように競馬を楽しんでください。